2021.10.11顧客は単なる「ユーザー」ではない
徹底した顧客像の分析なくして戦略なし

このコラムをスタートするにあたって、私がまず最初に必ず取り上げようと決めていたテーマがあります。それは「顧客とは何か」ということ。「お客様は神様です」とは言い尽くされたフレーズですが、いろいろな意味で、その通りだと私も実感しています。
企業にとって顧客は「神様」であり「先生」であり「鏡」です。そして、最も重要な「ステークホルダー」でもあります。このことの本質について、少しご一緒に考えてみましょう。


いまや商品力だけでは勝負が難しい時代

商品やサービスの品質、デザイン、スペックは、いうまでもなく重要な競争力であり企業価値です。あらゆる商品やサービスは、そのクオリティや機能を高めるべく、市場で開発競争を繰り広げてきました。

しかし今や、この技術競争はほぼ終わりを迎えたといっても過言ではありません。デジタルカメラやパソコン、スマートフォンなどの電子機器は、すでに人間のキャパシティを超えるような機能を実装しています。もはや、これ以上の高機能を備えたところで、使いこなせる人はほとんどいないでしょう。

つまり、すでに品質やスペックなどはほぼ横並び状態で完成されたともいえ、それらが顧客の選択基準とはなりづらくなってきているということです。では、何が顧客にとっての、新たな基準となるのでしょうか。

それこそが、UXDセンターが常に掲げている「感動的な顧客体験」であることは間違いありません。つまり、モノからコトへ、物質から体験へと、顧客の軸足が大きく変化しつつあるということです。

その商品について、顧客がどれくらいイメージを広げられるか、どのような夢を描けるか、いかなるワクワクを実感できるのか、そうした顧客体験を、それぞれの顧客にベストな形で提供する。これが、今後のものづくり競争の勝敗を分けるカギとなります。


「感動的な顧客体験」こそが企業価値を高める

顧客は単なる「ユーザー」ではない徹底した顧客像の分析なくして戦略なし

そうした顧客体験を実現するのに必要なものは何かというと、至極当たり前ですが、顧客についての情報をいかに取得し、適切に共有し、獲得につなげていくかということに尽きます。しかし、この当たり前のことがきちんとできている企業が、実はあまり多くないというのも事実です。

ほとんどの企業は、CR(カスタマーリレーションシップ)のための部署を設置していると思いますが、とくに大きな企業に散見されるのがCRが本来果たすべき機能を十分に果たしきれず、「お客様のクレーム処理」や「お問い合わせ窓口」にとどまっているパターンです。お客様のクレームにどう対応するか、関係部署にどう繋ぐかといったことだけに終始していては、本当の意味での“顧客との良い関係性”は構築できません。

本来、最も顧客に近い立場にあるCRセクションこそが、顧客をとらまえて(的確に“とらえて”+きっちりと“つかまえる”)、関係性を構築する役割を率先して担うべきでしょう。

 

もちろん、それと同時に接客や営業職に従事する従業員教育も重要です。顧客が求めているのは「感動的な顧客体験」です。マニュアルに終始しただけの対応に感動を生み出す力はありません。効率やマニュアルを優先した無機的な対応では、いかに販売している商品のスペックが高かったとしても、顧客の心を動かすことはできません。当然ながら、持続的なCRの構築など望むべくもありません。ただ一度の“こころのこもらない接客”で失うものはあまりに大きいといえるでしょう。

逆もまたしかり。扱っている商品はごくオーソドックスなものであっても、深く心に刻まれるような素晴らしい接客に遭遇することがあります。“神対応”などといってネットで一気に拡散されることも少なくありません。

こうした接客によって、顧客は感動を体験し、企業に対するロイヤルティスコアが一気に上がることも多々起こり得るのです。実にささやかな、コストも何もかからないような小さな気配り、言い換えるなら「小さなYes」体験が、思いも寄らない効果を企業にもたらすのです。

効率重視、マニュアル至上主義でない人材をいかに現場で育てることができるか、「小さなYes」を生み出すチームをどう組み立てるか、企業の組織力が問われているといえます。

顧客は単なる「ユーザー」ではない徹底した顧客像の分析なくして戦略なし

「感動的な顧客体験」を生み出すために重要なことは?

マニュアルCR・マニュアル営業を一歩先に進化させるためにすべきことは何か。

それは、先ほども述べましたが、顧客の姿をきちんと「とらまえる」ことのできる感性と想像力を現場で働く一人一人が磨くことです。そのためにも、自分たちが提供できる「最高の顧客体験」とは何かという経営のビジョンをリーダーがきちんと継承し、現場のオペレーションで共有することが欠かせません。このフローが徹底されていなければ、いかに経営サイドが「最高の顧客体験」のための理念を構築したところで、それは絵に描いた餅にすぎません。

そして、理念が企業の独りよがりにならないためにも、やはり基本に立ち返ること、つまり「顧客を見る」ことからきちんと見直すべきでしょう。CRを単なるカスタマーセンターのような枠に押し込めることなく、さまざまなライフステージを通じて、その企業のよき顧客であり続けてくれるための本質的な「アフターフォロー」にもっと注力すべきです。こうした「よい顧客」が「よい従業員」を育てます。そして「よい従業員」が次の「よい顧客」との関係を構築していく。これが理想のCRの循環だといえるでしょう。

つまり、新規商品の販売だけでは、もはやパイの拡大は見込めない時代に来ています。これからは、一度繋がった顧客の、その後の満足度をいかに高めて、次なる「感動の顧客体験」につなげていくかということが重要です。そのために顧客情報をどのように管理し共有し分析し、最も効果的なタイミングで「次の体験」へと導いていくか。奥行きのある営業戦略が不可欠です。

 

さらに、デジタルネイティブであるジェネレーションZ世代が、あと5年もすれば消費の中核層へと参入してきます。この時、私たちが「とらまえていた」つもりになっている顧客像も、大きく変化することが予想されます。彼らは、圧倒的に優れた情報収集力を持ち、“賢さ”も従来の消費者像から頭一つ抜け出します。一方で、カバーする情報の範囲がそれぞれに非常にニッチであることも特徴の1つです。

顧客は単なる「ユーザー」ではない徹底した顧客像の分析なくして戦略なし

そういった層にアプローチしていくためにも、今のうちから、彼ら「潜在的」顧客像を徹底的に分析し、そのためのアプローチ手段を構築しておくことが重要です。デジタルトランスフォーメーションがその解の1つであることは論を俟ちませんが、当然ながら、そこに込める理念こそが重要です。

このことについては、また回を改めて述べたいと思います。

 

いずれにしても、UXDセンターが掲げるビジョン「お客様に最高の笑顔を届ける」「至高の顧客体験をデザインして、ステークホルダーを最大限の幸せに導く」は、どちらも当たり前すぎるようですが、それを裏付けるのが、これまで述べてきた「眼差し」であり、それを具現化するためのコンソーシアムなのです。

人を見据え、時代の変化を見据えながら、企業組織によりよい変革のための新しい風を送り続けます。

UXDセンター長 木村健

木村 健 

木村健

あらゆる媒体で広告デザインやブランド戦略を展開してきたクリエイターでありマーケター。1990年台半ばから様ざまな企業やクリエイターたちと協業し、Webメディアやアプリケーションデザイン分野で業界を跨いだインキュベーション活動を行ってきた。
デジタルマーケティング会社、リリクアクリエイティブCOO。

UXDセンターのエグゼクティブプロデューサーとして立ち上げから参画。異業種プロフェッショナル集団の求心力である。

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